在宅で使った医療用麻薬が余ったとき——薬局への返却の流れと注意点


「痛みが落ち着いて、使わなくなった薬が残っている」「家族が亡くなったあとも、医療用麻薬が家に残っている」——在宅で医療用麻薬を使ったご家族から、こうしたご相談をいただくことがあります。
薬の変更や中止などで不要になった医療用麻薬は、一般の薬と同じように家庭ごみとして処分せず、調剤を受けた薬局や病院・診療所に持参して、処理を依頼するよう案内されています。まずは、次のポイントを確認しましょう。
・ 余った医療用麻薬は、調剤を受けた薬局や病院・診療所に返却し、処理を依頼します。
・ ご本人以外が使ったり、他の人に渡したりしてはいけません。
・調剤を受けた薬局以外でも対応できる場合がありますが、薬局ごとに対応が異なるため、事前に電話で確認してください。
・使わなくなった持続注入器(CADD-Solisなど)の取り扱いは、交付元の薬局や医療機関に確認してください。
・ご本人が亡くなったあとも、残った医療用麻薬は返却・処理の相談が必要です。
なぜ、薬局などへの返却が案内されているのか
医療用麻薬は、ご本人以外が使ったり、小さなお子さんやペットが誤って触れたりすると、重大な事故につながるおそれがあります。不要になった薬を自宅に置いたままにせず、適切に処理することが大切です。
患者さんやご家族から返却された医療用麻薬は、薬局などが定められた手順で廃棄します。薬局では、返却された麻薬の品名や数量などを記録し、他の職員の立会いのもとで廃棄したうえで、原則として廃棄後30日以内に都道府県知事へ「調剤済麻薬廃棄届」を提出します。返却後の法令上の手続きは、薬局側で行います。
こんなときは、返却について相談を
・痛みが落ち着き、使わなくなった
・薬の種類や量が変わり、前の薬が残った
・入院や施設への入所で、自宅で使わなくなった
・ご本人が亡くなった
薬をやめる、量を減らすといった判断は、ご自身だけで行わず、必ず医師の指示に従ってください。返却は、薬を使わないことが決まったあとに行う手続きです。
返却の流れ
1. 薬局や病院・診療所に電話し、返却したいことと、残っている薬の名前・おおよその量を伝える。
2. 受付できる日時や持参方法を相談する。受付時間や対応方法は施設によって異なります。
3. 案内に従い、残った薬を元の容器・包装のまま持参する。
4. 受け入れ先が薬の名前や数量を確認し、記録したうえで、定められた手順で処理する。
本人確認や持参時に必要なものがあるかどうかも、電話の際に確認してください。
持参するときの注意
・未使用の薬は他の薬と混ぜず、こぼれないように元の容器・包装のまま袋に入れ、事前に確認した方法で持参してください。家庭ごみとして処分しないでください。
・未使用の医療用麻薬の貼付剤は、自己判断で捨てず、薬局などに返却方法を確認してください。
・使用済みの医療用麻薬の貼付剤は、厚生労働省のマニュアルでは、粘着面を内側に二つ折りにして貼り合わせ、通常の医薬品と同様に廃棄する扱いです。ただし、子どもやペットが触れないよう十分に注意し、処分方法に迷う場合は薬局に確認してください。
・使わなくなった持続注入器(CADD-Solisなど)は、薬局や医療機関によって取り扱いが異なるため、交付元に返却方法を確認してください。
・薬の紛失や盗難に気づいたときは、すぐに交付を受けた薬局か病院・診療所へ連絡してください。盗難の場合は警察にも連絡してください。
薬剤師が定期的にご自宅や施設を訪問している場合は、訪問のときに、残った医療用麻薬を、薬剤師が引き取ることができます。ご家族が、薬局へ持ち込む必要は、必ずしもありません。
・ご本人やご家族から、薬剤師に、直接お渡しください
・引き取りができるか、いつ伺えるかは、薬局によって異なります。事前にお電話で、ご相談ください
・薬剤師は、薬の名前と数量を確認し、記録します
余らせないために、できること
・薬の種類や量が変わるときに、「前の薬はどうすればよいか」を医師・薬剤師に確認する。
・残っている薬の数をときどき確認しておく。次の処方について相談する際にも役立ちます。
・使い切れなさそうなときは、次の処方の前に主治医や薬剤師に伝える。
薬剤師が自宅を訪問している場合は、訪問時に残薬の数や保管状況を相談できます。気になることは、その際にお伝えください。
【よくある質問】
Q. 薬を出してもらった薬局でなくても、返却できますか?
A. 受け付けてもらえる場合があります。ただし、麻薬小売業者の免許があり、返却への対応が可能な薬局に限られます。対応は薬局によって異なるため、持参する前に電話で確認してください。
Q. 同じ病気の家族に、余った薬を使ってもいいですか?
A. 使ってはいけません。医療用麻薬は、その患者さんのために医師が種類や量を決めて処方した薬です。他の人に渡したり使わせたりせず、返却方法を薬局や病院・診療所に相談してください。
Q. 返却するのを忘れて、時間が経ってしまいました。
A. 気づいた時点で、薬局や病院・診療所に電話でご相談ください。状況を伝え、返却方法の案内を受けてください。
ご本人が亡くなったあとの返却
ご家族を亡くされたあとは、気持ちの整理がつかないこともあると思います。残った医療用麻薬は、ご遺族が使ったり、他の人に渡したりせず、落ち着かれたら薬局や病院・診療所へご連絡ください。
連絡するまでの間は、子どもやペットの手が届かない場所に保管してください。ご自宅に訪問していた薬局がある場合は、返却方法についても相談できます。
フジ薬局では
フジ薬局は在宅医療に取り組む薬局で、在宅訪問は月間550件以上です。医療用麻薬の調剤や、CADD-Solisによる在宅での疼痛管理にも対応しています(2026年1〜9月の対応実績:医療用麻薬の調剤219件、CADD-Solisによる在宅疼痛管理34件)。
医療用麻薬が余ったときの返却は、まずお電話等でご相談ください。残っている薬の名前とおおよその量をお伝えいただくと、案内がスムーズです。
医療用麻薬の基本やPCAポンプについては、別の記事「在宅でもがんの痛みはコントロールできる」で、薬局を選ぶときの確認事項は「在宅で医療用麻薬を使うことになったら——薬局選びで確認しておきたいこと」で説明しています。
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参考・出典
・厚生労働省「医療用麻薬適正使用ガイダンス(令和6年)」
・厚生労働省「薬局における麻薬管理マニュアル」
・厚生労働省「麻薬管理マニュアルの改訂について(訂正)」—貼付剤の廃棄方法等
・東京都保健医療局「麻薬取扱いの手引(薬局用)」




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